溺愛妖狐ひろいました
事情なんて話したところで信じてもらえないし、不審がられるだけだからそれは不本意だししないけれど。
でもそれを、訳ありだってひとくくりにしてミコトをそういう立ち位置にしてしまったことは申し訳ないって思う。
「おれの事は、ミコトって呼んでください。仕事教えてくれれば何でもします!」
「頼もしいね!じゃあ、今日からよろしく頼むよ、ミコトくん」
「はい!」
とりあえず、最初の関門は突破、かな・・・。
少しだけホッとして私は自分のデスクに戻った。
朝一通り、コピーの仕方とか仕事の事を教えた。
簡単な事なら自分でもできるはず。
「雨宮、あのバイト君。この前会った子だろ?」
「え、あ、金田先輩!」
顔をあげると金田先輩で、私は驚いて声を上げる。
最近よく話しかけてくれて嬉しい。
・・・嬉しいってやっぱり思っちゃうな。
でも、それが本心なんだから仕方ないよね。
少しはふっ切れたと思うけど。
好きだった気持ちは、過去にちゃんとあるんだから。