溺愛妖狐ひろいました


「ただいまぁ・・・」



ミコトはアルバイトだから、私より上がるのが早い。
合鍵を渡していて、先に返って待っているのが最近の日常。

いつもは、アルバイトをする前みたいに帰ってきたら飛び出してきて迎えてくれていたんだけど・・・。
今日は出てくる気配がない。

こういう時は、なにか落ち込んでる時って最近気づいた。




「ミコト?」



リビングに行って中を覗くと、ソファの上で丸まって座っていた。
耳も尻尾も出ている普段の状態。



その耳がシュンと下に垂れていて、ミコトの感情を知らせている。




「ミコト?なに落ち込んでるの?」

「・・・亜子・・・。ごめんなさい」

「え?」




シュンと肩を落としながら私を見てそう言う。
私・・・?




「な、なにが?」

「今日おれ、仕事なのに我慢できなかった・・・」

「あ、遊佐先輩のこと?」




遊佐先輩の名前を出すとピクッと反応する。
今日の事、気にしてたんだ。



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