溺愛妖狐ひろいました
★涙と抱擁
相変わらず、ミコトは女子社員の人気者だ。
「ミコトくん!お菓子食べない?」
「疲れたでしょう?少し休憩したら?」
最近では、フロアの違う別の会社の社員さんにまでそのうわさは広がっているらしい。
さすが女子ネットワーク。
でも、当のミコトはというと・・・。
「お腹すいてない」
「疲れてない、大丈夫」
まったく悪びれる様子もなくばっさりと切り捨てて行っている。
遠目に見ていてすごく申し訳ない。
もう少し愛想よくすればいいのに、と思うけどミコトにそこまで求められないよね。
人の中で十分頑張ってるんだから。
それに、私は知ってる。
「ミコト、大丈夫?」
トイレから出てきたミコトを待ち構え、声をかけた。
女の子たちには疲れてない、ってはっきりと言い放ったミコトだけど、人間への変化で体力を消耗するとしばらくトイレに籠って元の姿に戻ってる。
少し休んでまた人間に化けて出てくるのだ。