溺愛妖狐ひろいました
溺愛Level 1
☆傷ついた狐
“ほんと亜子って、お節介。正直、重いんだけど”
そんなことわかってる。
でも、どうしたって簡単に性格なんて変えられない。
どこまでがよくて、どこからがお節介なのか私には判別できないんだもの。
「雨宮さん、この資料今日中にまとめといてくれる?」
「・・・あ、かしこまりました」
シトシトと窓の外では雨が降っていて。
窓にあたる水の滴がその激しさを物語っていた。
ああ、雨なんて憂鬱。
電車通勤の私にとって雨は、迷惑でしかない。
駅まで歩かなくちゃいけないし。
傘をさしていても完璧に防ぐことなんて無理だし。
それに。
どんよりとした厚い雲は心さえも沈ませる。
「さて、取り掛かるか」
小さな旅行会社で事務の仕事をしている。
大きな会社ではないからいろいろなことを自分でやらなくちゃいけなくて忙しくはあるけど、やりがいのある楽しい仕事だ。