溺愛妖狐ひろいました
「お前、何やってんだよ」
「すみません・・・」
いつだって冷たい遊佐先輩なら、あれこれ深く聞かれずに済むだろうと、それに、どうしようもなかったから藁にもすがる思いで着替えを頼んだ。
「頼まれた着替え。本当に、お前のデスク勝手に漁ったぞ」
「・・・はい。構いません」
「ていうか、普通男の俺にそんなこと頼むか?女子更衣室とか、ほんと捕まるところだぞ」
「ごめんなさい・・・。今の時間なら誰もいないかと思って」
「まぁ、いなかったけど」
先輩には、私のロッカーから予備の制服を持ってきてもらったのだ。
ほんと、非常識だってわかってるけど。
秋穂には言いたくなかったし、他の女子社員とはそこまで仲がいいわけではないし。
それに、これが誰の仕業かわからない以上無闇に頼めない・・・。
女子トイレに入ったってことは、たぶん、女の人だろうし。
男の人がいろんなリスクを背負ってまであんなところで嫌がらせをする必要なんてないだろうし。
「あ、あの、ありがとうございました。着替えてすぐに資料、探してきますね」
「・・・いいから、お前今日は帰れ」
「え」
「そんなんで午後仕事になんねぇだろ。なにがあったか言いたくねぇなら聞かないけど。その状態で戻ったらなにかあったの丸わかりだぞ」