溺愛妖狐ひろいました
★尊の怒り
憂鬱なまま私は出勤。
なぜか尊も同じ時間に出勤してきていた。
「尊の出勤時間はまだでしょう?なんで今日は・・・」
「亜子ともっと一緒にいたいから」
「一緒にって・・・。いつも言ってるでしょ。働きに来てるんだって」
「わかってるよ。でも、少しでも一緒にいたいの」
サラッと当たり前みたいに言われるとなにも言えなくて。
内心嬉しいと思ってしまう。
でも、こんなところ見られたら・・・。
そんな気持ちもやっぱり拭えなくてソワソワしてしまって落ち着かない。
「あの、尊。やっぱり」
「あ、エレベーターきたよ。乗ろう」
「え、あ・・・」
尊に引っ張られる形でエレベーターに乗り込んだ。
尊の強引さには、時々逆らえない。
私は仕方なく黙って尊の隣に立った。
きっと、尊の側にいればその時は何もしかけては来ないだろう。
そう、期待して。