溺愛妖狐ひろいました
「匂い?前俺のことも匂うとか言ってたけど、お前の嗅覚なんなの」
怪訝そうな遊佐先輩。
「うるさい、遊佐」
「お前な」
「同じ匂いがこの建物の中からする」
「え・・・」
やっぱり、同じビルで働いてる人なんだ。
尊の言葉で、犯人がわかってしまうかもという、不安感がこみ上げる。
知りたい、でも、怖い。
「・・・許さない。亜子を傷つけるやつ、殺してやる」
「え、み、尊っ!」
ガタガタガタ・・・
医務室の中のものが音をたて揺れる。
ピリピリした生温い風が尊の身体の周りを巡る。
尊、キレてる。
ダメ。、
止めなきゃ。
「尊、待って!だめ!」
「亜子、傷つけるやつ。絶対許さない」
尊は恐ろしく冷たい表情で立ち上がる。
私の制止も聞かず医務室を飛び出した。
「尊!」
「お、おい」