溺愛妖狐ひろいました
慌てて尊を追いかける。
腕を掴んで止めようとするけど、一度キレてしまった尊を止めるのは至難の技だ。
前、寝ぼけて私を襲った尊に、次あった時は何をしてでも止めるって言ったけど。
それがどれだけ大変な事だって、わかってなかった。
「尊、待って!お願い!」
それに今回は寝ぼけてじゃない。
尊自身の意思だ。
「尊っ!」
尊はどんどん進んでいく。
そして、辿りついたのは、私たちの会社のフロアではなく、私たちの会社の上の階。
「え、きゃ!?」
まっすぐ、1人の女性の前まで進むと、その子の襟元をガッと掴んだ。
「尊!」
「や・・・み、尊くん・・・!?」
恐怖に顔をひきつらせる女性。
その人には見覚えがあった。
以前、尊にキャーキャー騒いでいたのを見たことがある程度だけれど。