溺愛妖狐ひろいました


それは、遊佐先輩の仕業で。
驚くほどの力で尊と女性を引きはがす。




「お前が大切なのは、雨宮だろ!その雨宮が望んでないことしてんじゃねぇよ!」




斬り捨てるような怒号。
その言葉に、尊はそこで我に返ったようだった。




「・・・お、おれ・・・」

「尊・・・」




私は尊に駆け寄り身体を支える。
尊の揺れる瞳が私を見た。




「こいつがこれだけキレてんだ。お前、なんでか見覚えあるんじゃねぇの?」

「な、なにが・・・。そんなの知らない。証拠でもあるの!?」




女性は尊から解放され、ホッとした表情をした後カッとなったように叫んだ。




「証拠?なんのことか聞く前に、証拠とか言ってる時点で白状してるようなもんじゃねぇの」

「・・・っ!」





ぐ、としまったというような表情で唇を噛む。
本当に、この人が・・・。




< 244 / 380 >

この作品をシェア

pagetop