溺愛妖狐ひろいました
それは、遊佐先輩の仕業で。
驚くほどの力で尊と女性を引きはがす。
「お前が大切なのは、雨宮だろ!その雨宮が望んでないことしてんじゃねぇよ!」
斬り捨てるような怒号。
その言葉に、尊はそこで我に返ったようだった。
「・・・お、おれ・・・」
「尊・・・」
私は尊に駆け寄り身体を支える。
尊の揺れる瞳が私を見た。
「こいつがこれだけキレてんだ。お前、なんでか見覚えあるんじゃねぇの?」
「な、なにが・・・。そんなの知らない。証拠でもあるの!?」
女性は尊から解放され、ホッとした表情をした後カッとなったように叫んだ。
「証拠?なんのことか聞く前に、証拠とか言ってる時点で白状してるようなもんじゃねぇの」
「・・・っ!」
ぐ、としまったというような表情で唇を噛む。
本当に、この人が・・・。