溺愛妖狐ひろいました
「亜子!!もう心配した!大丈夫!?」
会社のフロアに戻ると秋穂が泣きそうな顔で抱きついてきた。
心配してくれてたんだ。
結局心配かけちゃったな・・・。
「心配かけてごめんね」
「ううん。私も気づいてあげられなくてごめん。さっき軽く遊佐先輩から聞いたよ。大変だったんだって?」
「うん・・・。でも、尊も遊佐先輩も怒ってくれたから。私はもういいの」
「優しいんだから」
優しくなんてないよ。
だって二人にキレられて震えあがってるのを見て、ざまあみろ、位には思ってたんだもの。
「うちの会社の、伊達井くん。関わってたみたいよ」
「え?」
「あの子楠木さんだっけ?あの子に入れ込んでて、亜子の机にあの封筒を置いたの伊達井くんだったんだって」
「そうなんだ・・・」
伊達井くんはうちの会社の一つ下の後輩の男性社員。
あまり関わりはないけど、小さい会社だし多少のやり取りはある。
「まぁ、中身は知らなくてただおいてって頼まれたのをバカ正直においてたみたいだけど」
「そっか」
ある意味、伊達井くんも被害者なのかな。