溺愛妖狐ひろいました
本当は切った後の始末ちゃんとした方がいいけど、とりあえずはいいよね。
力が戻れば消えるみたいだし。
「人型になると、傷が痛々しいね。包帯取れちゃってるし」
狐の姿だと、毛で隠れていた傷も露わになって痛々しさが増す。
血は止まったみたいで安心したけど。
「これくらい平気だ」
「強がりね」
「別に強がってない!」
怒ったように声を張り上げる。
ムキにならなくたっていいのに。
「とりあえずご飯にして、まだ怪我人なんだから寝てなさい」
ズボンを渡し履かせると立ち上がりリビングに誘う。
なんだか、こうしてお節介がやけるの、楽しいかも、なんて。
それに、ミコトのおかげで余計なこと考えなくていいし。
「よし、じゃあ、いただきます」
「・・・ます」
ぶっきらぼうにそう言うと、ミコトは手でガシッと豪快にご飯を掴んで口に突っ込んだ。
わ、ワイルドすぎる!
「は、箸あるよ!」
慌ててそう言うと、ミコトは一瞬止まって机の上にある箸を見つめた。