溺愛妖狐ひろいました
★目覚めのキス
白銀は、尊になにをしたのだろう。
お昼休憩に見に行った時も、尊は目を覚ました形跡がなく妖狐の姿のまま眠っていた。
妖狐の姿なら、誰にも見えないしずっとここで寝ていても問題はないのだけど。
目を覚まさないことに、不安を覚える。
そして、定時を過ぎ仕事を終えた私は、尊のいる医務室に再び向かった。
「尊・・・?」
コソコソと中を覗く。
誰もいないのを確認して中に入った。
医務室と言っても、医師がいるわけではなく薬箱やら簡易ベッドやらがある部屋。
普段ここに来る人はほとんどいない。
時々、残業が長引いた人が仮眠を取りに来ることはあるみたいだけれど。
「まだ寝てるの・・・」
尊は相変わらず眠っている。
このまま目を覚まさなかったらどうしよう。
目を覚ました時の尊を思うと少し怖いけれど。
このまま目を覚まさないのは、もっと怖い。