溺愛妖狐ひろいました
「・・・う・・・」
考えていると、尊が身じろいだ。
目を、覚ましそう・・・。
ドクン、ドクン、と胸が鳴る。
「み、尊・・・?」
おずおずと声をかけ、尊が覚醒するのを待つ。
ゆっくりと開かれた瞳が、私を捕えた。
「――――ッ!!」
その瞬間、飛び起きるように尊が身体を起こし、フー、フー、と威嚇するように唸った。
尊の姿に、胸が痛む。
もう、私の事も嫌いになってしまったんだ。
「尊、あの、」
「来るな!人間!お前らなんか、大嫌いだ!」
「尊・・・」
尊から、今まで向けられたことのない感情を向けられ戸惑う。
どうして私は、尊はずっと私の事を好きでいてくれるだろうなんて思ってたんだろう。
そんなの、ただの思い上がりだ。
「殺してやる、人間なんか、皆、殺してやる!」
「お願い、尊!思い出して!私の事も、忘れちゃったの?」
「うるさい!黙れ!」