溺愛妖狐ひろいました
敵意丸出しで、威嚇する尊はまるで別人で。
どこか、私は特別だと思ってた。
尊にとって、私だけは特別で。
尊の中の人間、の括りには入らないのだと思ってた。
「尊、お願い、話を聞いて!」
「ゔー!」
「ごめん、ごめんね!私、なにもわかってなかつた!尊が私だけに懐いてくれることに優越感抱いてたの」
安心してた。
尊の想いを後回しにしても、尊は私の事を好きでいてくれるだろうって。
なんでそんな勝手なこと想ってたんだろう。
なくなるかもって思ってようやく気付くなんて。
私も、尊の事がこんなにも大切だったなんて。
尊の事が、こんなにも大好きになってたなんて。
「尊の事、なにも考えてなかった。自分勝手で、ごめんね」
「黙れ!黙れ黙れ!」
尊は混乱しているのか、ただ叫ぶばかり。
このままじゃダメだ、落ち着かせなくちゃ。
落ち着いて、ちゃんと向き合いたい。
話をしたい。
わかって、もらいたい。