溺愛妖狐ひろいました


尊の身体をそっと抱き寄せる。
私よりは大きな身体。
だけど、今はとても小さく思えた。



「記憶、思い出したの?」

「・・・うん」

「さっきの、白銀って人は尊も知ってる人?」

「うん・・・。昔同じところにいた」

「同じところ・・・」

「でも、あることがあって、それから会ってなかったんだ・・・あんな偉くなってたんだ」



偉く・・・っていうのは、よくわからないけど。
尊とあの人は本当に顔見知り。
それなのに、尊を捕らえにきたんだ。



罰を受けるのが当たり前みたいに。
尊がなにをしたというんだろう。




「尊が罰を受けないといけないっていってた」

「・・・うん。おれ、それだけのことした」



尊の声で認められると、不安になる。
そんなことないって、信じてたけど。



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