溺愛妖狐ひろいました
「まぁ、本来ならそれで死人が出ていてもおかしくはなかったがな」
「どういうこと?」
私がつい口を挟みそう尋ねると、白銀はフッと不敵に笑う。
「俺がいて、みすみす尊に復讐を果たさせてやると思うか?」
「え?」
「巴様の事は護れなかったが・・・。巴様が大事にしていた村の人間は護りたかったからな」
懐かしむようなまなざし。
白銀は白銀で巴様を大切に思っていて、護ろうとしていたんだ。
「尊が巴様を手にかけ姿を消した後、どうにか村人を全員避難させた。終えたその頃、復讐を果たしにお前が戻って来たんだ」
「そんな・・・」
「お前は、復讐を果たせたと思っていたようだが、残念だったな」
馬鹿にしたように笑う白銀だけど。
それはきっと、巴様のためだけじゃないように思えた。
尊が人間を傷つけてしまわないように。
これ以上罪を犯してしまわないように。
白銀なりの不器用な護り方だったんじゃないのかな。