溺愛妖狐ひろいました


「だが、神殺しは大罪。お前の罰は逃れられない」

「・・・うん」

「たとえそれが、巴様の願いだったとしてもな」




白銀は、痛みに耐えるような表情を浮かべる。
二人を愛し、二人に愛された巴様という神様。

そんな素敵な神様、会ってみたかったな。




「尊、白銀に感謝しなきゃ。尊は人間は殺してなかった。白銀が護ってくれたんだよ」

「うん・・・。シロ、ありがとう」

「別に、貴様のためにしたわけではない。巴様がいたらそうしろとおっしゃっていたと思ったからだ」

「うん。それでも・・・。シロのおかげで、おれ・・・」

「人間たちの住処を奪ったことは確かだからな。そこは忘れるな」

「うん。忘れない。反省して、償いたい」






尊がちゃんと過去と向き合えてよかった。
忘れたままでいなくて、ちゃんと思い出せてよかった。

向き合って、反省して前を向かなきゃ。




「亜子・・・、もう少しだけ、おれと一緒にいてくれる?」

「もちろんだよ、尊と一緒にいたい」

「ありがとう・・・」




それがたとえ許されないこととしても。
時間が許す限り。



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