溺愛妖狐ひろいました
尊は神使としての禁忌を犯しその力を奪われた。
でも、もともとの尊の野狐としての力は高い方だったそうで、だから今こうして人間に化けることができるのだという。
だからこそ、神を消すことができ、村一つ容易く消すことができたのだろうと白銀が言っていた。
「ばれたら、尊はここにいられなくなるんだから、十分注意しないとね」
「・・・亜子といたいから、そんなへましない。気を付けるよ」
「うん。そうしてね」
私だって、尊といたい。
尊の事が好き。
そう気づいてしまって。
この気持ちをどうしたらいいのか、わからなくなる。
尊は私の側にいたいと言ってくれるけれど、私自身も尊の側にいたいと思ってる。
「・・・雨宮?誰と話して・・・」
突然、声が聞こえビクッと肩を揺らした。
え・・・、誰かいて・・・。
仮眠室の鍵はかかっていなかったし、誰もいないモノだって思ってた。
さっき気を付けないとって話していたばかりだったのに。
バクバクと心拍数が上がる。