溺愛妖狐ひろいました
「・・・ゆ、遊佐先輩」
カーテンを開け、姿を現したのは遊佐先輩。
少し眠そうな顔付きで出てきた。
「お前、誰と話して・・・」
「え・・・、あ、えと。で、電話です。電話してたんです」
ハッとして慌ててポケットからスマホを取り出した。
掲げて見せてそう訴える。
「電話・・・?そんな感じだったか?あのバイトと話してたんじゃ・・・」
怪訝そうな遊佐先輩。
どうにか押し通さなきゃ。
でもまさか、ここに尊が妖狐の姿でいるなんて思うわけがないし、大丈夫だよね。
「だから、電話で話してたんです」
「・・・ふぅん。今日あいつ出勤日だろ。直接話せばいいだろ。わざわざこんな仮眠室に来て電話するなよ」
「起こしてしまいましたか?すみません。その・・・、鍵が開いてたので誰かがいると思わなくて」
「ああ・・・。少しだし、別に気にしないし、俺はいつもかけないんだよ」
「そうだったんですね・・・」
少し刺々しい言い方はいつもの事。
どうにか話を切り上げて出ていきたい。