溺愛妖狐ひろいました
期待してくれていたのに、私が裏切ってしまったんだ。
「親戚だがなんだか知らねえけど、仕事とプライベートはきっちりしろよ」
「・・・はい。すみません」
「お前に何がわかる!亜子は!亜子はっ!」
黙って聞いていた尊が声を荒げて立ち上がる。
でも、今の尊の姿も声も遊佐先輩には見えないし聞こえない。
ギリギリと悔しそうに拳を握る尊を私は黙って見ていた。
そのうち、仮眠室のベッドや窓がガタガタと音を立て始める。
私はハッとして声を上げる。
「だめ!」
「・・・は?なに?」
思わず出してしまった声に私は慌てて口を閉じる。
尊は私の声に反応して怒りを静めたようだった。
次第に音は鳴りやんだ。
「地震か・・・?てか、急に叫んでどうした?」
「い、いえ・・・。ごめんなさい。突然で驚いてしまって」
「驚いた・・・?ふぅん」
疑いの視線を向けられ私は困惑する。
挙動不審すぎるよね・・・。