溺愛妖狐ひろいました


「あの、本当にすみません。これからは仕事もちゃんとします。迷惑かけないようにするので」

「・・・別に。俺がとやかく言う事じゃないし、お前がこれまで頑張ってんのは知ってるから。本調子じゃない時だってあるのはわかるしな」

「いえ。私が気持ちが漫ろだったのは確かなので」




遊佐先輩に認められたいって頑張っていたあの時の気持ちを無駄にしたくない。
私にもできたっていう達成感は忘れられない。

遊佐先輩と仕事をして、私はより一層仕事への気持ちが高まって、向き合えるようにもなった。




「引き止めて悪かったな」

「いえ、あの、言いにくいこと言ってくださってありがとうございました」

「・・・あんたって、お人好しなの?」

「え?」

「普通、あんなこと言われて礼なんて言わないだろ」

「そうですか?」





呆れ顔の遊佐先輩に肩をすくませる。
でも、ありがたいって思ったんだもの。
確かに言い方はきついしズキンと来ることもあるけど。

でも、嫌がらせで言ってるわけじゃないのはわかっているし。
いけないことを私も自分でわかってることだったし。

指導してもらえることは嬉しいことだと思う。



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