溺愛妖狐ひろいました


私たちは仕事に戻り、尊も力が回復し人間の姿になって働いている。
私は、遅れを取り戻すため必死で頭と体を動かした。


「おい、雨宮尊」



後ろの方で、遊佐先輩が尊を呼んでいる。




「これ、社員分コピーして順番通りに机に並べてくれ」

「・・・かしこまりました!」



・・・な、なにそのいやいやそうな不機嫌な言い方は。
ほんと、遊佐先輩と尊って相性が悪いというかなんというか。

遊佐先輩に申し訳ないと思いつつ、こういう時まで私が出ていってしまうからいけないんだよね。




「お前な・・・」

「仕事は、ちゃんと責任ってやつ持ってちゃんとするよ!おれのせいで亜子が怒られるの嫌だから」

「・・・ちゃんとやるならいいけど。態度も改めてくれ」




呆れ気味だけど、怒った様子はない。
遊佐先輩も、いい加減諦めたのかな。

尊は言葉のとおり、テキパキと指示された仕事をこなしていた。
そのことには多少ホッとして、私も自分の仕事を進めていった。



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