溺愛妖狐ひろいました


その日から、仕事は一層忙しくなって、尊と関わる暇もないほどにバタバタと慌ただしい日々が続いた。
家に帰れば疲れ果ててご飯を食べてお風呂に入ったらすぐに寝てしまう。

白銀はもちろんのこと、尊ともあまり話ができない状態だった。



それと同様に、尊自身もいろいろと雑用を頼まれて慌ただしくしている様子だった。
尊もすっかり仕事に慣れ、簡単な雑用なら手早く済ませることができるまでになっていて、とても役に立っている様子だ。




「あー、目まぐるしい!次はなんだ?」

「部長!この資料チェックお願いします!」

「すみません!このプランなんですけど・・・!」



慌ただしく落ち着かないフロア。
少し尊の事が心配になる。

いつもお昼までしか持たない変化。
忙しくなって疲れるほど力は消耗されるはず。



自分の力の事だから、限界はわかると思うけど・・・。


完全に妖狐の姿になれば人間の目には映らないけど、中途半端に変化が解けると人間にもその姿を見ることができる人がいるみたい。
姿が消えるのも驚くだろうけど、突然獣耳姿になるのも大騒ぎになるだろう。


いったい、どちらの方が誤魔化せるんだろうか。




< 318 / 380 >

この作品をシェア

pagetop