溺愛妖狐ひろいました
時計の針が12時を指し、休憩の時間になる。
切りよく仕事を終え私は慌てて尊を探した。
「尊!」
「亜子~」
明らかに消耗した様子の尊を発見。
尊は泣きべそになりながら私に抱きついてくる。
「大丈夫?仮眠室に行こう」
「ん~、もう、だめかも・・・」
「ええっ、ちょっと、ちょっと待って。急いでいこう」
いつになく切迫した状態の尊に慌てて腕を引いて仮眠室に向かった。
最近尊が仕事に慣れてきたから、皆も頼みやすくていろいろと仕事を回していたから。
「ほら、中入って」
「う~、もう、だめだー」
「えっ、」
ボン!!と中に入った瞬間、尊の力が抜けたようにへなへなと座り込み、頭の上に現れた獣耳。
本当に限界ギリギリだったみたいだ。
こんな風に力尽きて戻るなんて初めて見た。
「な、なんだ・・・それ」
突然聞こえた私と尊以外の声。
私はハッとして顔をあげた。
慌てていて中に人がいるかどうか確認できてなかった。