溺愛妖狐ひろいました
次の日、朝早く尊と会社に行き上司に突然すぎる退職を願い出た。
急遽田舎の方に帰らないといけなくなったという理由で。
「尊くんはよくしてくれていたのに残念だな」
「本来なら1月前には申請しないといけないのに、突然申し訳ありません」
「まぁ、そうだな。でも、突然決まったんだろう?アルバイトって形だし。今回は大目に見るよ」
「ありがとうございます」
「お世話になりました」
尊は、礼儀正しくそうやってお辞儀をする。
ここで働いて礼儀が身についたような気がする。
尊にとっても、得るものはきっとあっただろうな。
「またこっちに返ってくることがあったら顔見せてくれよな」
「はい。もちろんです」
尊はそのまま誰にも会うことなく帰った。
皆には、上司の口から口頭で知らされることになった。
無理をいって働かせてもらって、最後まで無理を突き通してしまった。
上司には本当に感謝しかないや。