溺愛妖狐ひろいました
「・・・そう言われるんじゃないかと思ってた」
「え・・・?」
「だから、すぐに返事はいらないって言ったんだ」
先輩・・・。
どうしてこんなにいい人が私なんかを好きになってくれたんだろう。
最初は口が悪くてとっつきにくい人だと思ってた。
でも、話してみれば仕事に熱心で真面目な人なだけだった。
「先輩のことは本当に尊敬してるんです」
「いいよ。そういうフォローは」
「フォローとかじゃ!本当に」
「だったら俺を好きになれよ」
「そ、それは」
私は言い淀む。
そんな私をみて先輩は小さく溜息を吐いた。
「嘘だよ。ほら、さっさと行けよ」
「先輩・・・」
「俺はもう少し仕事してくからさっさと帰れ」
先輩は背を向けて少し乱暴にそう言った。
私はそれ以上何も言えずその場を後にした。