溺愛妖狐ひろいました
★未来への選択
尊がいなくなって一月が経った。
相変わらず、日々は流れていて。
尊がいなくても、時間は流れていくのだと否応なしに感じさせられる。
それでも、私の心の中にはぽっかりと空いた穴が塞がらず。
言いようのない寂しさが付きまとう。
わかっていたことだと何度も自分に言い聞かせた。
それでも、現実を受け入れるにはまだ時間がかかる。
ひとりになってしまったアパートの一室がこんなにも広く感じてしまうほどには。
「はぁ・・・」
ため息を一つ。
こんなにも、一人は寂しかったっけ。
最近の私は、仕事に逃げている。
仕事を必死にやっていれば、辛いことを考えずにすむ。
尊がいない現実からも逃げられる。
そうやって現実逃避をしていれば、上司からは認められ、一層仕事が忙しくなる。
馬鹿げていると思うけど。