溺愛妖狐ひろいました
「ただし。一度契約を交わせばもう取りやめることはできない。例えこの先数十年のうちに心変わりをしたとしても、もうお前は人間として死に、転生することはできない」
「――――っ」
「それに、この契約のデメリットは契約を交わしたその時の姿で定着されるという事だ」
「その時の・・・姿・・・」
「尊の知っている今の姿で会いたいのなら、今この時に契約を交わすしかない。まぁ、すぐに老いるわけではない。数年は考える猶予は持てるだろうがな」
尊と互いに知っている姿で会いたいのなら、老いる前に契約を交わすしかない。
契約を交わせば、私は死んだあと妖となって生きることができる。
でもそれは、人間であることをやめるという事。
妖として死んだとしても、人間に転生することはできない・・・。
漠然としていてよくわからない。
実感も持てない。
妖として生きることがどういう事なのか。
それでも―――。
「それでも、私は尊に会いたい」