溺愛妖狐ひろいました
☆ごめんねの涙
「今日、そんなに寒い?」
昼休憩のとき、秋穂が不思議そうにそう言った。
それは、私が着ているタートルネックのせいだろう。
首には、ミコトに絞められた痣が残ってしまった。
それを隠すために着ている。
普段は室内の仕事だし、室内は暖かいから着ないため不思議がっているみたい。
「ちょっと、風邪気味で」
「そう言えば、声ちょっと掠れてるもんね。大丈夫?」
「うん。熱とかはないし、元気なんだけどね」
まさか首を絞められた、なんて言えないし誤魔化すために風邪ということにした。
秋穂も何の疑いもなくそのまま受け取ってくれたみたい。
「あんま無理しないでよ。悪化するとしんどいよ」
「うん。わかってる。ありがとう」
別の心配をかけてしまうことは少し心苦しいかも。
痣、早く消えるといいんだけど・・・。
「そう言えば、今日は来ないね」
「え?」
「遊佐先輩」
秋穂が食堂を見渡しながら言う。
来なくていいって。