溺愛妖狐ひろいました
「ミコト。はっきり言うね。確かに、私ミコトの事怖いって思った。ミコトは妖狐で私の未知の世界にいる存在だし。今まで好意を向けてくれてたから。突然向けられた悪意に、怖いって思ったよ」
「・・・うん」
「でも。それはミコトだからじゃない。きっと同じ人間でも、そういうことは起こりうることだと思う。でも、だから距離を置く。もう関わらないっていうのは簡単だけど、私はミコトとそうなりたくないの」
中途半端にしたくない。
最初は成り行きだったけど。
面倒を見るって決めたのは私。
ミコトが妖狐だって知って、なにか抱えてるって気づいて、それでも一緒に暮らすことを決めたのは私。
「ミコトがちゃんと自分のいるべき場所を思い出して、安心して出ていける時までここにいていいって言ったのは、私でしょ?」
「うん・・・」
「でもね、ここにいるなら、ミコトは幸せでいてほしいの。ミコトが安心して楽しく過ごせる場所であってほしい」
「楽しく過ごせる場所?」
「うん。私に遠慮して、ベランダで過ごすとか、そいう事をしてほしくないの。ミコトが怖いと思う事、不安に思う事、話してほしい。私、ちゃんと聞くから。一緒に考えるから」