溺愛妖狐ひろいました
「雨宮、このファイル、もう当分使わないから倉庫に戻して置いてくれないか?」
「あ、はい。わかりました」
「分類が書かれてあるダンボールがどっかにあるはずだから、その中に入れておいてくれ」
「はい」
ファイルを託され、私はフロアのある階の一階下にある倉庫として使っている部屋に向かった。
埃っぽく節電のため電球を減らされ薄暗いこの倉庫。
不気味な雰囲気が少し苦手だ。
少し前まではユーレイでもでそう、だなんて冗談交じりに秋穂と言ったりしていた。
けど、ミコトの存在を認めた今。
ユーレイという存在も確かにいるのでは、と思ってしまう。
冗談が本当になってしまいそうで少し怖い。
「さっさと終わらせて戻ろう」
わざと声に出して不安を紛らわせる。
ダンボールを探すとまさかの一番上の段に見つけた。
「脚立・・・脚立・・・」
脚立を探し、立たせると、ゆっくりあがっていく。