ビルの恋
月曜日

また一週間が始まる。

金曜日の夜はとても楽しかった。

キスされた時、驚いたが嬉しかった。

私のことを好きかどうか、伊坂君には聞けなかったけれど。
今度会ったらなんて言おう。

職場に着くと、すでに本条君が出社していた。

彼は相変わらずサイモンにしごかれており、日々、課題が山積みの状況だ。

「おはよう。
何か急ぎで手伝うものはある?」

声をかける。

本条君は、助かった、という表情を見せた。

「ここの数式がうまく動作しないんです」

資料作成のために計算ソフトと格闘中か。

「わかった。
見てみるから、ファイル送って」

デスクに戻り、PCを開く。

メールを開くと早速ファイルが送られてきた。

コードを確認する。

あった、入力ミス。

本条君は優秀なはずだが、そそっかしい。

こういうところが完璧主義者・サイモンの気持ちを逆なでするのだ。

数式を二か所訂正し、本条君に返信する。

「直したので、動作を確認して」

斜め向かいのパーテーション内にいるはずの本条君に声をかける。

本条君はPCを操作し、

「・・・大丈夫。ありがとうございます!」

と元気にお礼を言った。

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