ビルの恋
「土曜って、明日じゃない!」
紀美子さんが驚く。
今日も管理室でランチだ。
「行くことにしたの?」
心配そうに聞く。
「はい。あんなふうに言われたら、断れなくて。
伊坂君との将来も見えないし」
おにぎりをかじる。
今日はしょっぱい梅と、胡麻昆布と、鮭だ。
「そうよね・・・いきなりのプロポーズはインパクトあるわよね」
紀美子さんも、今日はおにぎりだ。
美味しそうな天むすが、お弁当箱の中にきれいに並んでいる。
「で、どこで会うの?」
聞いた後、おにぎりを一口食べ、咀嚼しながら私の答えを待っている。
「朝6時に品川駅で待ち合わせです」
「早いわね。
しかも品川。今の彼はビルの中ばかりだったから、対照的ね。
どこに行くつもりなのかしら?」
「さあ・・・」
全く分からない。
来ればわかるからと、ノーヒントだ。
「性格はどうなの、やっぱり正反対?」
「どうなんでしょう。
伊坂君は自信家であまり感情を表に出さないけど、本条君は穏やかでわかりやすい感じかな」
お茶を一口飲む。
「でも本条君のことはよく知らないんです。
見た感じそそっかしいですけど、S&Wに就職するくらいだから、優秀なんでしょうし」
頭の中で本条君を思い浮かべてみる。
人懐こい笑顔と、腕まくりしたワイシャツ。背は多分、伊坂君より少し高い。
「悩むと思うけど、自分の気持ちを見失わないようにね」
紀美子さんが優しく言った。
紀美子さんが驚く。
今日も管理室でランチだ。
「行くことにしたの?」
心配そうに聞く。
「はい。あんなふうに言われたら、断れなくて。
伊坂君との将来も見えないし」
おにぎりをかじる。
今日はしょっぱい梅と、胡麻昆布と、鮭だ。
「そうよね・・・いきなりのプロポーズはインパクトあるわよね」
紀美子さんも、今日はおにぎりだ。
美味しそうな天むすが、お弁当箱の中にきれいに並んでいる。
「で、どこで会うの?」
聞いた後、おにぎりを一口食べ、咀嚼しながら私の答えを待っている。
「朝6時に品川駅で待ち合わせです」
「早いわね。
しかも品川。今の彼はビルの中ばかりだったから、対照的ね。
どこに行くつもりなのかしら?」
「さあ・・・」
全く分からない。
来ればわかるからと、ノーヒントだ。
「性格はどうなの、やっぱり正反対?」
「どうなんでしょう。
伊坂君は自信家であまり感情を表に出さないけど、本条君は穏やかでわかりやすい感じかな」
お茶を一口飲む。
「でも本条君のことはよく知らないんです。
見た感じそそっかしいですけど、S&Wに就職するくらいだから、優秀なんでしょうし」
頭の中で本条君を思い浮かべてみる。
人懐こい笑顔と、腕まくりしたワイシャツ。背は多分、伊坂君より少し高い。
「悩むと思うけど、自分の気持ちを見失わないようにね」
紀美子さんが優しく言った。