ビルの恋
翌朝、私は伊坂君より早く目を覚ました。

シャワーを浴びて部屋に戻っても、まだ伊坂君は眠っている。

起こさないように、静かに身支度をした。

黙って出ていこうかと思ったが、さすがにそれはできなかった。

「伊坂君」

「・・・ん?」

「行くね」

「・・・何時?」

「5時。仕事は?目覚ましかける?」

「いや、いい。起きる。送るよ。シャワー浴びるから待ってて」

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