明日も歌う あなたのために
「………?どうゆうこと?わかんねー」
────もぉ……………鈍いなぁ。
「だから、相手を意識してるから緊張するってことでしょ?」
高梨の体調が悪いことも忘れ、人差し指を立てて少し大きな声で諭すようにそう言った。
「意識……………俺が……花菜さんを、か」
顎に手を当てて暫く考え込む高梨。
だけど難しい顔をしてすぐにまた顔を両足の間に埋めてしまう。
「駄目だ……今日は、パンクしそー……」
───どうやら自覚したようだった。
ふと、高梨の顔を覗き込んだ。
「って、高梨!?顔真っ赤だけど!!」
ついさっきまで真っ青だった顔が、今はゆでたタコみたいに真っ赤である。
私はとっさに高梨の額に手をやる。
「はは……知恵熱、だったりして」
「ちょっと笑いごとじゃないよ高梨!熱いよ!?」
「大丈夫もう気分は良くなったから。花瑠のおかげ。さんきゅーな」
その呼び方に、いちいちドキッとしてしまう。
────さっきだけじゃなくて、これからも花瑠って呼んでくれるんだ…………?
ちょっと………嬉しいかも。