明日も歌う あなたのために
「──じゃ、もう戻ろ。なんか皆練習しないで待ってるみたいだし」
「えっ戻るの??」
高梨は「戻らないの?」のと首を傾げて立ち上がるけど、足がふらついたのか今度は立ったまま壁にもたれる。
これには高梨も苦笑いだ。
「………………帰ろっかな」
「うん、そうしな。高梨の鞄あるし。私も送ってくよ家まで」
「え?いい いい大丈夫!だいたい花瑠の鞄はまだ教室だろ?」
「平気よ。置いてってマズイもの入ってないし。それに高梨はどうみても”大丈夫”じゃないし」
スマホもお財布も持ち歩いてるし。
「や、ほんっとに大丈夫だし帰り暗くなるから………」
「あーそっ、そうやってまた高梨は”大丈夫 大丈夫”とか言ってどっかで倒れて私達のトラウマを増やすんだね」
高梨の主張を遮ってそう挑発するように言う。
「……………」
「懐かしいなぁ、前は確か体育の審判をしてたとき…………」
「ああもう分かったよ!すみませんでしたっ送ってください!」
真っ赤な顔でそう叫ぶように言った高梨。
─────ふっ、チョロいわ。