明日も歌う あなたのために
飯田に連絡をしたあと、私たちは二人で高梨の家路についた。
「女の子に送ってもらうとか、一生の恥かもなぁ」
苦笑いしながら高梨が言う。
─────女の子………かぁ。
「ねぇ……結局 高梨はおねーちゃんが好きなの?」
「……そうかもしれないな」
─────うん。分かってた。
それに、おねーちゃんも高梨のことをただの患者とは思ってないことも、前から分かっていた。
人の恋を応援するのは好きだ。
実った時、幸せそうな二人を見て、私も幸せが伝染ったみたいにほっこりするから。
だから高梨とおねーちゃんのことも、くっついたら良いなって思えたはずなのに。
────高梨に自覚させてしまったこと、後悔してる。
「花瑠?どうした、ぼーっとして」
「ううん、なんでもないの」
嫌でも、この鼓動が教えてくれる。
「俺、今日花菜さんに連絡してみるよ。花瑠と話してたら、なんか素直になればいいんだなって思った」
「うん……。でも今日は帰ったら、ちゃんと休んでね」
ありがとう、とまた柔らかく微笑んで、私の少し前を歩く。
夕日を浴びたその背中に、聞こえないように小さく呟いた。
「………………好きだよ………」