明日も歌う あなたのために
新たな誓い
【湊 side】
家まで送ってくれた花瑠と別れて、玄関で「ただいまーっ」と言う。
しかし、いつも俺が帰るなり飛びついてくるはずの岬が、来ない。
「………あれ?岬、居ないのか?」
──いつもなら寝ていても飛び起きてやってくるのに………。
リビングを覗くと、そこには岬どころか母さんも居ない。
代わりに、結婚して離れて住んでいるはずの兄ちゃんが、ソファーに座りイヤホンで音楽を聴きながらスマホを眺めていた。
「兄ちゃん…来てたんだ」
俺が鞄を床に下ろすと、やっと気付いたのか振り返る。
「ミナー!帰ってたなら ただいまくらい言いなさいっ」
「………言ったよ、兄ちゃんが聞いてなかったんだろ。──ねぇ岬と母さんは?」
「それがさ、岬が熱出したとかで病院。遅くなりそうだから俺らがお前のおもり」
今由香里がシャワー浴びてるから、と兄ちゃんは付け加えた。
夫婦揃って面倒見にきてくれるなんて本当に申し訳ない。
だけどそれより………………、
「岬が熱って、大丈夫なの??」
「や、別にそんな高くないらしんだけど、今クラスでインフルが流行ってるらしくてな、一応」
「そっか………心配だね」
岬が体調崩すなんて、珍しい。
「ってミナ!?お前も顔赤くないか?
……お前のが先に熱あったんじゃないか?」
「それな。岬に伝染したの俺かもね」
それでも、学校に居た頃よりはだいぶマシになって足どりもしっかりしてきた。
「え、ミナ風邪?」
「いや熱だけだし、いつものやつじゃない?」
兄ちゃんは背後で熱計れだの薬飲めだの叫んでいるが、俺にはそれより先にすることがあった。
家まで送ってくれた花瑠と別れて、玄関で「ただいまーっ」と言う。
しかし、いつも俺が帰るなり飛びついてくるはずの岬が、来ない。
「………あれ?岬、居ないのか?」
──いつもなら寝ていても飛び起きてやってくるのに………。
リビングを覗くと、そこには岬どころか母さんも居ない。
代わりに、結婚して離れて住んでいるはずの兄ちゃんが、ソファーに座りイヤホンで音楽を聴きながらスマホを眺めていた。
「兄ちゃん…来てたんだ」
俺が鞄を床に下ろすと、やっと気付いたのか振り返る。
「ミナー!帰ってたなら ただいまくらい言いなさいっ」
「………言ったよ、兄ちゃんが聞いてなかったんだろ。──ねぇ岬と母さんは?」
「それがさ、岬が熱出したとかで病院。遅くなりそうだから俺らがお前のおもり」
今由香里がシャワー浴びてるから、と兄ちゃんは付け加えた。
夫婦揃って面倒見にきてくれるなんて本当に申し訳ない。
だけどそれより………………、
「岬が熱って、大丈夫なの??」
「や、別にそんな高くないらしんだけど、今クラスでインフルが流行ってるらしくてな、一応」
「そっか………心配だね」
岬が体調崩すなんて、珍しい。
「ってミナ!?お前も顔赤くないか?
……お前のが先に熱あったんじゃないか?」
「それな。岬に伝染したの俺かもね」
それでも、学校に居た頃よりはだいぶマシになって足どりもしっかりしてきた。
「え、ミナ風邪?」
「いや熱だけだし、いつものやつじゃない?」
兄ちゃんは背後で熱計れだの薬飲めだの叫んでいるが、俺にはそれより先にすることがあった。