明日も歌う あなたのために
2階に駆け上がり自分の部屋に入ると、カーペットに寝そべりスマホを手にする。
そして、”佐原 花菜”のまっさらなトーク画面を開く。
────よし。
変に文章を作ることなんてない。
俺らしく、自然に、素直に。
[花菜さん 久しぶりです。
元気にしてますか?
もっと早くに連絡したかったのに
なんか緊張しちゃって
今さらな感じになっちゃいました(笑)]
───送信。
すると、わずか数秒で既読がついて、思わずスマホの画面を床に伏せる。
────び、びっくりした………。既読、早っ!!
暫くしてピコン、と通知の音。
──返信も早い………。
おれは恐る恐る伏せてあったスマホを裏返す。
[湊くん久しぶりだね!
湊くんこそ体調どう?
連絡が無いから心配してたんだよ?]
──心配?
なんだか申し訳ない。
当たり前だ。俺は別に体調が悪かったわけではなくて、単にヘタレてただけなんだから……。
[大丈夫ですよ元気にやってます!
ほんとに緊張してただけです]
[本当に?今日も元気?
熱出したりしてないかな?]
[え、なんでわかるんですか!?]
花菜さんの返信にギクッとした。
──花菜さんって………超能力者かよ…………
女の勘ってやつか?
またすぐ既読がついて、返事を待っていたが、急に着信音が鳴り響いて、画面が変わる。
[着信*佐原 花菜]
─────え………っ。
え!?つ、通話!?