明日も歌う あなたのために

夢だけど

【湊side】



前に居た、ここより少し小さな病院を
移ることになった時。
俺はすごく寂しいな、って思っていた。

移植手術をする為にこの有名な病院に
移ると言うのならば、
ドナーが決まってからにすればいいのに。

それだけ、病状が進んでしまっているってことなのだろうか。


俺だけが、世界から切り離されたみたいだなんて思った。


俺の病室の窓からは、
小学校が見えた。
校庭の遊具で遊ぶ児童たちが
いつもここから見えた。

そのとなりに中学校がある。
放課後になると、部活が始まった。
校庭を駆け回る生徒たち。
おしゃべりしながら下校する生徒たち。

中学生の、本来あるべき姿。


俺はそこから切り離されてしまった。



───あそこが現実世界なら、ここは何処なんだろう。


そんなことを考えていると、
病室の扉が突然に開いた。

ノックもしないで開くヤツなんか
1人しかいない。



「よっミナ!来てやったぜ!」


「やっぱり龍か」


幼なじみでクラスメートの飯田 龍平だ。

病院を移ってからは、
初めて顔を合わせた。


「久しぶりだな!ごめんな、あんま来れなくてよー」

「しゃーない。前の病院は中学から近かったけど、今は13駅離れてるもんな」
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