明日も歌う あなたのために
『そっか…………』
すると、沈黙。
花菜さんの勢いに圧倒されてた俺は、そこでやっとひと息つく。
「花菜さんの声聴くの、久しぶり」
透き通る様な、優しい声。
なんにも変わってない。
『湊くんの声はちょっと違うね』
「そう?」
『熱っぽい声してる』
「はは、今日だけだよ」
『その笑い声、湊くん変わってないね』
「変わらないよ、たったの1ヶ月で」
───だけど俺は、あなたが変わってしまっていないかと、不安だったりもしたんだ。
だけど俺は、変わらないと前に進めない。
「花菜さんあのね、今日………花瑠が大切なことに気付かせてくれたんだ」
俺の唐突な話題に、花菜さんは少し間を空けて『………花瑠が?』と聞き返す。
「気付かせてくれたのは、俺の気持ち。気づかない振りは出来なかった。やっぱり…大切だから」
『……うん』
「俺、今こんなに弱いけど。絶対強くなるから。そしたら胸を張ってこの気持ちを伝えたい」
『うん……うん…』
「ドナーが見つかったら、俺 花菜さんの病院で手術を受けるだろ?そしたら次に花菜さんに会うのはその時だ」
そうでありたいと、深く思う。
本当は今すぐにだってあなたの元へ駆け出して、この気持ちを伝えたい。
だけど、俺はあなたを守れるほどに強くなりたいと思うんだ。
想いを伝えるのは、その後。
だから、だからあなたは…………
「だから今度逢えた時は……、俺の大切な気持ちを、笑わないで聴いてくれますか」