明日も歌う あなたのために



────今は………これが精一杯だ。







「………………笑うわけないよ」





電話の向こうで、そう答えた花菜さんの表情は、分からない。




………だけど、気付いたんだなって思う。



俺の伝えたい気持ちが、何なのか。





「………しっかり、受け止めたいから。その時は、私の気持ちも聴いてね」





その言葉に、ドキドキと大きな音を立てて胸が脈を打つ。



───その言葉の意味も、本当は今すぐにだって確かめたい。



だけど、それじゃ俺はいつまでも花菜さんに甘えてばかりだ。





「俺、強くなるから。だから、だからその時まで待っててくれないか」






────こんな、告白予告みたいな………。


違う。これは誓いだ。



胸を張って、伝えられるように。
あなたに、自分の未来に誓うんだ。





「……はい…っ」




花菜さんは、しっかりとそう答えた。





────花菜さんも、俺の未来を信じてくれているんだ。





───だからこそ強くなって伝えたい。



あなたの信じる俺の未来に、寄り添ってはくれないだろうか。




この気持ちも信じてほしいから。





だから伝えさせてください。



今度出逢えたなら、










────誰よりも 愛しています、と。









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