明日も歌う あなたのために
「通話って誰と?」
数分の沈黙を破って、不意に尋ねてくる龍。
何気なく聞いているようなフリをしているが、俺は知ってる。
本当はさっきからずっとその事を考えて黙り込んでいたんだろう。
「花菜さんだよ」
「ハナサン………?ああ、あの看護師の花菜さんか。で、どうだった?」
「告白予告しといた」
────ゴンッ。
あまりの驚愕に、まるでマンガの様に龍は真正面から電柱にぶつかった。
「なにしてんの龍………」
「え!?は!?告白!?」
「──予告、だってば」
赤い鼻を抑えながら首を傾げる龍に、昨日の電話でのことを簡単に説明した。
「──な、なんだそれ………漫画みてぇ…」
「や、今の龍に言われたくないしっ」
「いやいやでもよ!お前らもうほぼ両想いってことじゃねーか!」
「え………どうなのかなそれは」
──なんたってこの歳の差だ。