明日も歌う あなたのために

「男として認識されてないよ、多分」


「は?!だったらなんで告白予告なんかしたんだよ?」


「だからだよ、俺は男なんだぞって再確認させるために」


「────……なるほどな」





最初はそんなつもりじゃなかった。

ただここにある感情を、花菜さんに伝えたかっただけだ。


だけどまだ”愛してる”を言うには俺は未熟すぎる。


再確認なんて回りくどい事しなくても、俺は男なんだって意識してもらう為にも、俺は強くならなくちゃいけない。




「──なぁ龍、龍は”強くなる”ってどうゆうことだと思う?」


唐突すぎる俺の質問に、顎に手を当てて真剣に考え込んだ龍に、「イメージでいいよ」と付け加える。



「──よくわかんねぇけど、俺の中で”強いヤツ”のイメージは……あれだな、プロレスラーとかボクサーみてぇな、強靭な体を持った奴だな!」




「───だよねぇ……俺も色々考えたんだけど、やっぱ”強い人”ってイメージがもう”ムキムキな人”に直結しちゃって………」



強くなる、とは言ったものの、そのなりたいイメージが自分の脳内で具体化されなくて、「強い?強いってそもそもなんだ?」という疑問が生まれてしまった。




「───とりあえず……、今日から筋トレでもしようかな?」




「身体に触るから、ほどほどにしろよ?」




男として強くなるために筋トレ、その結論に多少の疑問を抱きながら、学校への道を歩いた。





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