明日も歌う あなたのために

「別に…時間を合わせて会えばいいじゃない」


───いつ来るかも分からない未来に、約束をするくらいなら。



すると高梨は、静かに首を横に振った。



「それじゃ駄目なんだ。花菜さんには、花菜さんが信じてくれた俺の未来で待っていてほしいから」



おねーちゃんが信じた高梨の未来とは、ドナーが見つかって高梨が元気になる未来だろうか。


そしてやっぱりその未来には、おねーちゃんも居るんだ。




「そうしていつか強く強くなって、花菜さんに追いつく事が出来てはじめて、胸を張って気持ちを伝えられる気がするんだ」




そう言って窓の外を、まっすぐに見詰める高梨。


あの青空に、高梨は何を見ているの?



おねーちゃん?高梨の目指す未来?
それとも、両方………?
おねーちゃんと寄り添う自分の未来だろうか。





どっちにしたって、そこに私は居ない。







───でもね、


でもね、高梨。



私は、高梨にはずっと笑っていて欲しいと思ってるんだよ。


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