明日も歌う あなたのために



「やっと守りたいものが出来たんだ。死んだって離すもんか」







「……高梨……………?」







「今まで何度も、守っていたものを奪われてきたんだ。花菜さんだけは…あの人だけは絶対、誰にだって、運命にだって奪われるもんか」







──いつもの温厚な高梨はどこへ行ったのだろうか。




高梨と出会ってから、一度だってこんな表情を見せたことがあっただろうか。


いや、あるはずない。




はじめて会った日から、彼はずっと同じ笑顔で笑っていた。


あの頃は、それが人を惹きつけるんだろうなって、羨ましく思っていたんだから…。
















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