明日も歌う あなたのために
「ねーなんか歌いたくならねぇ?」
「そうだね」
「個室だから、大丈夫じゃねーか?」
多分大丈夫じゃない、外に聴こえる。
だけど、
「そうだね」
大きく息を吸った。
久しぶりで、震える声。
だけど徐々に感覚を取り戻していく。
そんな俺の声に、
龍の低音が重なり合って、
ひとつのハーモニーになっていく。
堪らない、この感覚。
病室だということをすっかり忘れた。
───世界から切り離されて、
むこうが現実世界ならここは何処なのか。
結局その答えはよく分からないけれど、
少なくともも今は
夢の中に居るみたいだった。