明日も歌う あなたのために
「あ…あのさ、体調悪かったら私は気にしないで、横になっててもいいんだよ?」
私がそう言うと、彼は少し驚いたような顔をした後、またクスリと笑った。
「大丈夫、体調不良じゃないよ。俺のクラスも今体育なんだ。だからここにいんの」
───ん?体調不良だから体育に参加しないでここに居るんじゃないの?
という意味をこめて首を傾げると、私の意図を察したようだった。
「俺 心臓悪いからあーゆうの出来ないんだ」
「えっ…………?」
笑顔でさらりとそんなことを言った彼に、思わず言葉を失う。
「あ、もうそろテーピングしよっか」
そして何事も無かったかのように私の手から氷嚢を取り、テーピングを始める。