明日も歌う あなたのために
「高梨、あのね。私にも誰にも譲れない人が居るんだ」
唐突な言葉に、窓の外から目を離した高梨と、やっと目が合う。
「今は全然適わないけど、絶対振り向かせるんだ。誰にも渡したくないの。これはきっと高梨と同じ気持ちだよ」
きっとこんな風に言っただけじゃ、天然な君には伝わらない。
高梨はまたいつものように無邪気な顔で、だけど少し悪戯っぽく笑う。
「おそろいだな」
─────ねぇ、おねーちゃん。
おねーちゃんは高梨をどう思ってるの?
好き?それともただの年下の男の子?
どっちにしたって、私は負けない。
おねーちゃんが高梨を好きだとしても、私はそのずっとずっと前から高梨を見てきたんだ。
高梨がおねーちゃんに恋をする、ずっと前から…………。
私も闘うよ、高梨。
絶対に振り向かせてみせるから、
覚悟しといてね!