明日も歌う あなたのために
【湊side】



「曲を作りたいんだ!」



花菜さんと約束をしてから3日後の放課後。

俺は軽音部の部室に龍、相沢、花瑠を集めて唐突に発表した。



案の定、皆は意味がわからないと言うふうに目をぱちくりさせた。



「オリジナルで曲を作るんだ。それで皆でライブに出たい。目標はクリスマス。どう!??」


そう一気に言うと、三人とも顔を見合わせて口々に言った。



「ちょっとまて、オリジナルもライブも大賛成だけど、一つ謎があるんだが」


「ああ、謎だ」


「ねぇ……、なんで私が呼ばれたの?」






疑問に思うのも無理はない。放課後帰ろうとしていた花瑠を引き留め、いきなり軽音部に連れてきたのだから。




「花瑠にはベース弾いて欲しくて」




「はぁ!?ベース!?私が!??」



戸惑っているのは花瑠だけじゃない。相沢も龍も、自由すぎる俺の行動に、呆気をとられている。



「俺が弾いてもいいんだけど、やっぱりこの曲はボーカルに専念したい」


「ちょ、ちょっと待ってよ!私楽器なんてやったことないよ!?」



「花瑠ならすぐ上手くなる。手先が器用だからね。それに左利きだから、人よりコードトーンはやりやすいはず」



「え、でも…………え、本気!?」




────自分でも、無茶苦茶言ってるのは分かってる。


人手が足りないからこんなこと言ってるんじゃない。

部内にはそれなりのベース経験者がたくさん居るし、その中のだれかに頼むことも出来た。


でもそうじゃないんだ。

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